
相次いで政策系学部を設置していることも注目度のアップに貢献している。
ただそうした表面的な傾向以上に、政策系学部が他の新傾向学部と違うのは、「政策」というキーワードと「問題解決型」というアプローチを軸に、政策系学部が社会科学を総合しようとするというかなり明確な問題意識と、それに基づくカリキュラム編成を行っているところにある。したがって政策系学部に対し、パソコンを日常的に使いこなし、英語を喋れる学生を育成することをねらいとしているというイメージを持つことは、ある面では正しいが、別の面では学部の一面だげしかとらえていないといえる。
以上、政策系学部に関する大づかみな議論をしてきたが、どうも世間のイメージはSFCについての過剰なほどのマスコミ報道に引きづられているようだ。そこで、以下では慶応義塾大学総合政策学部(1990年)、中央大学総合政策学部(1994年)、立命館大学政策科学部(1994年)、熊本県立大学総合管理学部(1994年)、関西学院大学総合政策学部(1995年)という5つの政策系学部のカリキュラムを比較検討し、各大学の共通性と個性を浮かび上がらせてみたいと思う。これが本章の第1の課題である。
次に、これまでの私的な記述からも、私が政策系学部の意義を高く評価していることはお分かりいただけたと思う。恐らく、政策系学部は停滞した在来学部を再活性化する起爆剤となるだろうし、現にそうなっている(詳しくは、第5章を参照)。だが、カリキュラムをつぶさに検討してみると、そこには無視できないいくつかの問題点がある。これらの問題点は、今後政策系学部がさらに飛躍発展するために克服しなければならないものであろう。一般教育のあり方がその一例である。大学改革の先頭に立っている政策系学部であるが、従来の一般教育科目が多くの場合、単に看板のつけかえだけでそのまま残っており、ただでさえ語学や情報処理、多様な専門科目を履修しなければならない学生の大きな負担になっている、これはほんの一例であり、後で詳しく述べるが、カリキュラムの検討を通して、政策系学部の一層の改善方向を提案することが本章の第2の課題である。
最後になるが、以下の記述のうち、意見に関わる部分はあくまでも私個人の見解であり、この委員会全体の見解ではないことをあらかじめお断りしておきたい。また、事実の誤認や誤解があるとしたら、ご指摘願えたら幸いである。
2.政策系学部のカリキュラム比較各大学の個性と問題点を検証する
慶應SFCの設置以降、各大学に設けられた政策系学部のカリキュラムを見ると、これ
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